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議案第1号「平成27年度生駒市一般会計補正予算(第4回)」に対する 反対討論

                  注:<>内の資料は引用者が付したものです。

 この議案は、独立行政法人都市再生機構(以下、「UR都市機構」とします)が学研高山第2工区内に所有する土地(以下、「当該地」とします)を3億4000万円で取得するため一般会計を補正しようという議案です。

 学研高山第2工区(以下、「第2工区」とします)<ご参照>は約288ヘクタールで、当該地はその約6割を占め、公簿面積で132.5ヘクタール。残りの約4割は約850人以上の一般地権者の民有地となっていますが、当該地を3億4000万円で取得することには重大な問題点があります。

 以下、その問題点を指摘し、その点を踏まえた提案もさせていただきます。  当該地を取得するに当って市が作成した「第2工区の将来のあり方」<UR所有地位置図/学研高山第2工区の将来のあり方に関する検討結果ご参照>によれば、当該地を取得する目的は、「学術研究と産業の発展」「広域的連携」「都市と農の共生」の3つを第2工区の目指すべき将来像として掲げてまちづくりを進めていくためです。

 1つ目の「学術研究と産業の発展」とは、「新たな雇用を創出し、税収を生む産業施設の誘致」、つまり「学術・研究施設や研究開発型産業施設に加え、生産施設、いわゆる『ものづくり産業』施設の誘致」を進める、ということですが、学術・研究施設や研究開発型産業施設の誘致地区である高山第1工区<ご参照>の2区画がいまだに売却できておらず、第1工区にせっかく誘致できたNEC研究所も撤退してしまったことを考慮すると、「学術研究と産業の発展」とは「ものづくり産業施設の誘致」つまり「ものづくり企業の集積=工業団地の形成」とならざるを得ません。

 そして、製造業からサービス業への産業構造の転換、中小企業の撤退・廃業、工場の海外移転や国内集約などにより 工場用地が過剰となっている現状の中では、「ものづくり産業施設の誘致」は進まず、工場用地は造成したが、やってくる産業施設はなく寒風吹きすさぶ荒涼たる光景のみ広がることになるでしょう。

 次の2つ目の「広域的連携」とは「広域的な交通ネットワークの構築強化」とのことで、要するに第2工区において、広域を結ぶ東西と南北を貫く幹線道路をつくることであります。

 「工業団地の形成」もままならない中、このような幹線道路をつくることは、大量の通過交通をもたらすのみで、第2工区の環境破壊のみならず、周辺地域にも排ガス・振動の交通公害をもたらすでしょう。

 最後の3つ目の「都市と農の共生」とは、環境モデル都市に相応しい「食・農・環境と交流のまちづくり」を進めるものです。

 市作成の「第2工区の将来のあり方」には「本地区の豊かな自然環境との調和を図り、当地区の特性を十分いかした土地利用が望まれる。」との記載があり、「食・農・環境と交流のまちづくり」は、そのような望まれる土地利用としています。これは卓見であります。しかし、問題は、市作成の「第2工区の将来のあり方」では「食・農・環境と交流のまちづくり」がメインではなく、「学術研究と産業の発展」と「広域的連携」がメインとなっていることです。これを逆転させなければなりません。

 国が策定・推進している「生物多様性国家戦略2012-2020」<生物多様性国家戦略ご参照>によれば、生物多様性の危機をもたらしているものは4つあります。

 第1の危機は「開発など人間活動による危機」

 第2の危機は「自然に対する働きかけの縮小による危機」

 第3の危機は「外来種など人間により持ち込まれたものによる危機」

 第4の危機は「地球温暖化など地球環境の変化による危機」

 市作成の「第2工区の将来のあり方」は、第1と第4の危機の助長をメインとし、第2の危機の排除はサブとなっており、国家戦略に逆行しています。

 以上から、結論をまとめると、「第2工区の将来のあり方」は、「食・農・環境と交流のまちづくり」をメインとし、「学術研究と産業の発展」と「広域的連携」はサブとするべきです。

 そして、第2工区の土地利用のメインとした「食・農・環境と交流のまちづくり」、これは、「里山の保全と活用=生物多様性保全と活用」といえますが、それを第2工区の約6割を占める当該地、つまり、UR都市機構が第2工区において所有する面積相当分において実施するとの土地利用計画を策定し、その実施をUR都市機構と取り決めるべきです。そうすれば、当該地はUR都市機構からの無償移管を受けることも可能となります。その可能の根拠は、次の通りです。

 今議会に提出された「学研高山第2工区内における独立行政法人都市再生機構の所有地の無償移管に関する請願書(以下「請願書」とします)」<資料付ご参照>にも述べられている通り、UR都市機構のニュータウン事業中止地域のUR都市機構所有地を地元の地方公共団体に無償移管することについては、複数の前例があります<ご参照資料>。例えば、第2工区と同様にUR都市機構のニュータウン事業中止地域であった京都府木津川市の学研木津北地区にUR都市機構が所有していた土地については、「生物多様性の保全による生態系サービスの供給源として活用する」との土地利用計画を木津川市が策定し<土地利用計画ご参照>、その実施を取り決めることでUR都市機構からの無償移管を受けています<ご参照資料>。また、首相を長とする行政改革推進会議や財務省の財政制度等審議会では、UR都市機構の事業中止地区における素地の処分について「公園など公共施設用地として活用できる可能性がある土地について、地方公共団体へ無償移管することも選択肢として検討」することが提示されています<行政改革推進会議での配布資料のP.7/財務省 財政制度等審議会での配布資料のP.19をご参>。

 当該地は、UR都市機構の前身である住宅都市整備公団が約600億円で買収したものです。㎡当たりにすると約4万5千円(45.3千円/㎡)。それを今回、市は3億4000万円で取得しようとしています。㎡当たりにすると約260円(256.6円/㎡)です。これは、市が実施した不動産鑑定の内示価格(132.49ヘクタールで31億9800万円・2413.8円/㎡)の9.4分の1です。約600億円(引用者:約4万5千円/㎡)で買収された土地を3億4000万円(引用者:約260円/㎡)で取得する。これを、簡単に是とすることはできません。

 国家的機関たる住宅都市整備公団の約600億円の買収費の原資は日本国民の税金です。かかる多額の税金が投入された土地を一団体(生駒市も一地方公共団体です)が安価に取得することを許されるのは、その土地利用が真に有意義におこなわれる場合です。

 先ほど見たように、市作成の「第2工区の将来のあり方」は、当該地を安価に取得することを許される有意義な利用計画とはいえません。

 当該地を安価に取得する。ひいては、その無償移管を受けるに値する有意義な利用計画を策定し、実行すべきです。

 有意義な利用計画とは、次のようなものだと「請願書」は記しています。

 「生物多様性保全上重要な里地里山」<ご参照>として位置付けた土地利用計画の策定・実行が、国際的要請に応えるものであり、我が国の国家戦略を推進し、生駒市の緑豊かなまちづくりを実現するものです。かかる計画こそ、「残る山林や里山等の自然環境保全」「市民が緑とふれあう活動の推進」を掲げる「関西文化学術研究都市サード・ステージ・プラン」を実現・推進するものであり、無償移管を受けるに値する有意義な利用計画です。

 第2工区について、UR都市機構が所有する面積相当分においては「生物多様性保全上重要な里地里山」として位置付けた土地利用計画、それ以外の部分においては一般地権者の理解が得られる土地利用計画を策定し、その実施を取り決めることで当該地のUR都市機構からの無償移管を受けるべきと提案しつつ、無償移管に値しない土地利用のために当該地を取得するための、この補正予算議案に反対いたします。

 世界は地球温暖化、資源枯渇、食糧問題、グローバル化による経済格差拡大などに直面し、日本では食糧自給率が低下し、食の安全が脅かされ、エネルギー確保は必ずしも安定せず、教育の荒廃が進み、理由なき殺傷事件が発生するなど人々に不安感が拡がっています。これから世界、日本は存続できるのだろうかという危機意識を持つ人々も少なくありません。そんな中で、これらの問題を解決する方策・糸口がある場所として里山が注目されています。持続可能な社会を実現するよりどころを里山に求める動きが強まっています。これからも世界、日本が存続するためには、里山の保全・活用が不可欠です。<里山についてはこちらをご参照>

 生駒は、里山の発生の地の一つといわれています<ご参照>。そんな最古の里山である生駒の第2工区が「日本や世界の 未来を切り開いていく地」になってほしい。そんな願いを込めながら反対討論を終わります。

                                            (以上)

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