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「地方議会議員の厚生年金への加入を求める意見書について」の反対討論

                     参考:年金用語集議員年金の復活計画.pdf年金が必要、動く議員「地方議会議員の厚生年金制度への加入を求める意見書」に対する反対討論(九度山町議会)専業して金が足りないから厚生年金で面倒見て…そんな政治家大丈夫ですか?900議会が意見書可決 「議員年金」復活許してはいけない.pdf/国民の声⇒その1.jpgその2.jpg

 本意見書は、議員年金が平成236月に廃止されたことにより、地方議会議員にとっては、将来に対する保障が大きく縮減することとなった状況を背景に、議員のなり手不足が問題となっている自治体も出てきており、また、経験や能力を有する現役世代が議会に参入しがたい状況も生じているので、人材確保の観点から、地方議会議員の処遇改善の一環として、現在国民年金しか加入できない地方議会議員の厚生年金加入に向けた取り組みを国に強く求めるというものです。しかし、本意見書は、国民・市民の理解を得られないものです。その理由を、以下、述べます。

 さて、国民年金しか加入できない「第1号被保険者」は、地方議会議員だけではありません。昨年12月の厚生労働省発表では約1800万人に上っています。国民年金だけでは将来に対する保障が不十分だとして地方議会議員のみを厚生年金に加入できるようにすることは、国民年金しか加入できないで将来に対する不安を感じている多くの人々を置き去りにし、自分たちだけ抜け駆けする、議員に再び特権を与える行為です。かつての議員年金が特権だとして批判されて廃止されたことを忘れてはなりません。議員は特別だという意識こそ最も批判されなければなりません。

 国民年金だけでは不安だと思うなら、国民年金を補う制度、つまり、厚生年金加入者と「第1号被保険者」との年金額の差をなくすために設置されている国民年金基金 確定拠出年金個人型付加年金を活用すれば済むことです。それでもまだ不安、国民年金とそれを補う制度が不十分、だと思うなら、それこそ議員の務めとして、すべての「第1号被保険者」の不安解消のために国民年金とそれを補う制度の拡充を求める意見書を提出すべきです。

 これらをやらないで、地方議会議員のみの厚生年金加入を求めることはどうことになるでしょうか。地方議会議員が厚生年金に加入すれば、厚生年金保険料の半分に税金が投入されます(厚生年金の保険料を会社が半分負担してくれる)。地方議会議員のみの厚生年金加入実現を求めることは、血税投入によって地方議会議員のみの処遇アップをはかろうとしているとのそしりを免れることはできません。

 国税庁が先月11日に公表した「民間給与実態統計調査結果」によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の平均年間給与は、この場合の年間給与は1年間の給料・手当及び賞与の合計額で給与所得控除前の収入金額をいいますが、25歳~29歳で352万円、最も金額が多い50歳~54歳で509万円、全年齢平均で420万円となっています。正規・非正規雇用に分けて計算した平均年間給与についてみると、正規雇用が485万円、非正規雇用が171万円となっています(参考:正規と非正規との違い)。それと地方議会議員の年間報酬との差を本市の議員の年間報酬で見ると、本市の議員の年間報酬が約825万円ですから、それと平均年間給与の差は、正規雇用で340万円、非正規雇用ではなんと654万円となっています。非正規雇用でしか働けない方々が、この数字を見ながら、じぶんたちよりはるかに多い年間収入を得ている地方議会議員が更なる処遇改善を求めていることをどのような気持ちでご覧になるでしょうか。

 なお、小池都知事が主宰する「希望の塾」の塾生の約3000人が地方議員等の選挙への出馬を希望しているとの発表(ご参照)や昨年春の生駒市議会議員選挙では定数24人に対し33人が立候補したことなどを見ると、地方議会議員のなり手不足の原因は厚生年金に加入できていないことにあるのではないことがわかります。従って、いくつかの自治体での議員のなり手不足問題の解決に地方議会議員の厚生年金加入が必要との本意見書の見方は的外れであり、議員のなり手不足問題の解決に厚生年金加入が必要というのは、全国の地方議会議員の厚生年金加入による処遇アップをむりやり正当化させるための口実であるといわざるを得ません。

 さて、今日、日本でも経済格差が拡大し、厚生労働省が昨年12月に発表した「就業形態調査」によると非正規雇用が初めて4割の大台を超え(ご参照)、厚生年金に加入できる資格を得られるような定職につけない、国民年金の保険料を納められない、など若い世代の貧困化が進んでおり、このままでは将来的に無年金者が増大するともいわれています(ご参考)。厚生労働省が3年ごとに実施している「相対的貧困率」、つまり、国民一人ひとりの所得を順番に並べたときの真ん中の人の額(中央値)の半分(貧困線)に満たない人の率、の調査では、その率は調査開始の1985年には12%であったのが、その後増え続け、2012年では16.3%となっています(ご参照)。かかる、貧困化の進行を背景に、経済格差や若者の貧困をとり上げるテレビ番組がゴールデンタイムでも放映されるようになっています。

 例えば、今年8月18日のNHKの「ニュース7」の貧困女子高生の特集ニュースは大きな反響を呼びました(ご参照)。今月の16日にはカンテレの「格差はなぜ世界からなくならないのか」との番組(ご参照)の中で池上彰さんが「戦争中は格差が縮小する」と解説しました。これは、格差と貧困に苦しむ若者が「戦争だけが唯一の希望」という気持ち・気分を持つようになっている(ご参照)理由を説明するものとなっていました。同じ日のNHKの番組かんさい熱視線(ご参照)では、格差社会で生きることの“痛み”を表現した短歌が若い世代を中心に共感を呼んでいる、セーラー服歌人鳥居さんのいくつかの歌、例えば「けいさつをたたいてたいほしてもらいろうやのなかでせいかつをする」が紹介されました。なお、その歌は全文ひらがなです。

 このように、経済格差や貧困化が進行し、若者をはじめ多くの人々が将来の保障はおろか現在の生活の保障すら十分に得られていない(ご参照ミラー)中で、経済格差や貧困に苦しむ人々の処遇改善を求める意見書ではなく、地方議会議員の処遇改善のみを求め、自分たちだけの老後を心配するがごとき意見書を提出することは、やはり地方議会議員は自分のことしか考えていないということを国民・市民に再確認・再認識させることになり、地方議会議員ボランティア化論・地方議会議員無作為抽出選定制導入論、更には地方議会議員不要論を一層高め浸透させることになります。そして、政務活動費問題等で信頼が低下している地方議会や地方議会議員不信をさらに強めることで、良識ある議員のなり手不足が更に進み、志ある若い世代や優れた経験や能力を有する現役世代をますます地方議会から遠ざけることになります。

 かかる地方議会の荒廃につながるような意見書は提出すべきではないと考えます。

 本意見書と同内容の意見書がすでに約半分の都道府県議会で採択され、今月にはいくつかの市町村議会でも採択される見込みとのことです。そろそろ老後のことが心配になってきた年齢の議員さんが老後の処遇に係る意見書を提出したいと思う気持ちは理解できなくもありませんが、老後のことなどまだまだ先の若い議員さんで、同世代の低賃金非雇用にあえいだり国民年金保険料を納入できないほど困窮している方々よりはるかに多い年間収入のある若い地方議会議員さんまでもが、自分たちだけ税金の投入によって老後の安泰を確かなものにしようとする意見書を提出しようとすることには心寂しいものを感じます。自分たちのことしか考えないのではなく、社会的に、経済的に、精神的に、身体的に苦しんでいる人々の気持ちに寄り添い、それらの人々の福祉向上と幸せの実現に努力するのが議員たる者の務めであることを、老婆心ながら申し上げたいと思います。

 地方議会の荒廃、若い地方議会議員の気持ちの荒廃につながるような意見書は提出すべきではないと考え、本意見書に反対いたします。

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