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「ペンギン・ハイウェイ」や「千と千尋の神隠し」の舞台となったのはこんなところ     

~以下は、「ペンギン・ハイウェイ」と「千と千尋の神隠し」の舞台の共通点を述べたこの文の一部についての説明文です。~

 そこ<説明 :「千と千尋の神隠し」の始まりの部分>に描かれているのは高台にある新興住宅地である。千尋たちはその住宅地へ引っ越してきたらしい。丘陵を切り開いて造った住宅地で、「○○ヶ丘」などという名前がついているだろう。ぴかぴかした新築の家が整然とならんでいるだろう。

 それは私の原風景というべきものである。

 私が大阪から奈良へ引っ越してきたのは、小学四年生の夏だった。千尋よりも少し歳下ぐらいの頃合いであろうか。

 大阪との県境にあるベッドタウン的な町で、かつては森や野原だった丘陵地帯に、「○○ヶ丘」と名のついた住宅地が広がっていた<説明この地図.jpg北大和~西登美ヶ丘のこと>。やがて高校を卒業して京都の大学へ進学するまで、思春期的妄想力のピークにあたる時期をその町で過ごした。

 高台から坂をくだれば川が流れて、その両側には田んぼが続き、昔ながらの農村風景が広がっていた。神武東征の折、九州からやってきた天皇を迎え撃ったという「ナガスネヒコ」の話を母から聞いたのも、そんな川沿いの風景を眺めながらのことである。自分たちは丘陵地帯に出現した歴史も何もない住宅地に住んでいるのだが、すぐ隣には古事記的伝説につながる奈良の風景があった。<説明この地図.jpgご参照): 川は富雄川のこと。この川は、昔、トミ(富・鳥見・登美・登弥・等彌・迹見などいろんな字が充てられてきた)と呼ばれた地域を流れたので「とみおがわ(鳥見小河・富小川)/とみのおがわ(登美の小河・富の小川)」と呼ばれていたのが、いつしか富雄川と呼ばれるようになりました。日本書紀では、長髄彦ながすねひこが内つ国うちつくに(生駒山地の東側)をわが国といっており、古事記は、長髄彦のことを登美那賀須泥毘古とみのながすねひこ・登美毘古とみひこと表記していることから、生駒神話の主人公である登美彦(長髄彦)の本拠地は富雄川流域のトミ地域(現在の生駒市上町から奈良市石木町にかけての地域)とされています。>

 新興住宅地と古い町の境目には神社や寺があった<説明 この地図.jpg一言主ひとことぬし神社長弓ちょうきゅう伊弉諾いざなぎ神社天之忍穂耳あめのおしほみみ神社ご参照ご参照)のこと>。それはあたりまえのことで、かつて神社仏閣が背負うようにしていた丘陵の森を切り開いて造られたのが新興住宅地だったのである<説明 : 丘陵の森の中には生き残るものもあります。小説「ペンギン・ハイウェイ」の舞台のモデルとなって、ジャバウォックの森」という名で、その小説の主舞台(この地図.jpgご参照となった森のように。>。新しい町と古い町の境目は急坂や小道が錯綜していて、思わぬところへ通じていた<説明 小説家の森田季節さんはまさにそのような体験をされたようです。なお、森田さんが「ほとんど奇襲みたいな経路」「学研北生駒・・・・・駅から歩いていくと、あからさまに新興住宅地です。そんなところから無理矢理山に入っていくと、お寺にたどりつきます」と述べておられるのが、後述の真弓坂・イザナギ坂のことです>。

 ・高台には新興の住宅地がある。

 ・平地には歴史ある町がある。

 ・その中間には神社仏閣がある。

これは当時の私が身体でおぼえたシンプルな法則である<説明 この地図.jpgで示された山中の坂は、高台の新興住宅地(真弓~北大和)と富雄川流域の平地の歴史ある町を結んでおり、坂の下部に長弓ちょうきゅう伊弉諾いざなぎ神社があります/真弓側から小さな峠までの上りは真弓坂、富雄川側から小さな峠までの上りはイザナギ坂と呼ばれるのが相応しいでしょう。この坂の真弓側の入り口は、このストリートビューの向こう側の大通り(ならやま通り)からは見えないところにひっそりとあり、この坂の富雄川側からの入り口は、このGoogle Earthに表示されている長弓寺本堂の脇を通る道の突き当たりにひっそりとあります/坂は、2つの異なる世界の境界(2つの異なる世界を結ぶもの)なのです。2つの異なる世界とは、あるときは、高台(新世界=新興住宅地)と平地(旧世界=歴史ある町)であり、あるときは、この世とあの世です(坂っていうのは傾斜のある場所っていうだけでなくて境目っていう意味もある(清水坂は、生者の世界と死者の世界の境).pdfご参照)>

 <説明 : イザナギ坂・真弓坂という「木々のトンネル」は、平地(旧世界=歴史ある町)と高台(新世界=新興住宅地)という2つの異なる世界を結んでいます.pdf。「千と千尋の神隠し」において、坂道を登る途中で道に迷ったところにあったトンネルが、古い町と不思議な町という2つの異なる世界を結んでいたように。なお、先に述べたように小説家の森田季節さんは、その「木々のトンネル」ともいうべきイザナギ坂・真弓坂を「ほとんど奇襲みたいな経路」と記しています(Google Earthで見ても経路はまったく見えません)。

 

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